この国を出よ

この国を出よ

この国を出よ


いやぁ、煽りますねぇ。読み進めるうちに、無駄に激しい論調と無意味にでかいフォントに疲れてきちゃいました。iTunesUで竹中先生の「世界を目指す」を聞いた方がよっぽどエンパワーされるんじゃないだろうか。


勢いの割には内容が浅いというか、こんなタイトルの本を自腹で買うような人にとっては得るものが少ないのでは、という感想です。この国を出た方がいい、なんて言われなくても早く出たいんですが、今いる現実との折り合いの付け方とか、自分のような中産階級の人間が本当に知りたいことは描かれてないです。まぁ、答えなんて自分で探せみたいな話でしょうけど(笑


結果、彼ら(著者および既にご活躍中の皆様)にとって当たり前のことを当たり前にはこなせていない自分を強烈に認識させられるので危機感あおられるものの本を閉じる頃には何となく脱力しちゃう感じです。そういう意味で、本当に読んでほしい人に、本書のメッセージは届くのだろうか。そんな私は、本書で言及される典型的な日本人サラリーマンなのですね。はやく脱却しよう。


メモ:

  • 安定を求めて現状維持に汲々としたり、リスクを恐れて何もしなかったりすることこそが一番の「リスク」なのです。P.13


    • これは同意。10年後のことを考えたら早く脱出しなければと決心した日のことを思い出しました。結果、いまのところ良かったと思います。まぁ、10年後にどういう判断かは分かりませんけどね。




  • 今の日本は「ミッドウェー後」とそっくりです。冷静に考えれば負けると分かっているのに、それを認めようとせず「まだ大丈夫」「最終的には神風が吹いて勝てるだろう」と思い込んでいる。P.30


    • これは耳が痛い話、個人的にもRFID業界的にも。まずは、冷静に考えたら負ける、シナリオを検証しなければ。




  • 日本企業は、個々の能力のある人だけが自分の記憶と経験でプロジェクトを進めます。したがって、その人が異動したり退社したりすれば、情報やノウハウや人脈などが丸ごと会社から消え去ってしまう。今そういうベテランが続々と中国、台湾、韓国の企業にスカウトされて移っています。だから大量退職時代に入って、東アジア勢のキャッチアップが加速しているという、笑えない事実が生まれているのです。P.70




  • そもそも、ここまで世界がグローバル化しているのに、日本に閉じこもって将来を悲観してばかりいる必要はありません。むしろ、チャンスは世界中に広がっていると言えます。P.117


    • 高校生の頃に「名前も大坂だし大阪の大学でも行ってみよう」とかやってたころのように身軽に動けばよいだけなのにね。伽藍にも色んなレベルがあるということだ。




  • おそらく日本のビジネスマンは、仕事だけでなく、プライベートにおいても目標を持っていないのではないでしょうか。つまり、「自分のやりたい人生」を生きていないがために、とにかく「サラリーマン」という看板を維持することに必死で、プライベートも我慢するいう悪循環に陥っているのです。P.125


    • 他責人生の象徴ですねw




  • ノキアは最初からグローバルな視点で市場を見ていたからだと思います。自国内で頑張ろうにも、人口も経済規模も小さく、限界が見えています。さらなる成長を目指すなら、世界に市場を求めるしかなかったのです。グローバル化に成功した企業の教訓は、地方の小さな企業にこそ示唆的だと思います。P141


  • 例えば韓国では、サムスン電子が入社条件を「TOEIC900点」、課長以上への昇進は「同920点」としました。これにより劇的に変わったのが教育界であり、子供を一流企業に就職させようと躍起になる保護者の意識でした。中略。ちなみに、ソニーの課長昇進基準は650点。P.159


    • 900点は凄い。でも、ソニーの650点のほうが逆の意味で凄いw




  • 富裕層や企業を呼び込むための各国の税制には一定のトレンドがあります。それは個人所得税と法人税の減税、そして相続税の廃止です。個人所得税は、日本が50%(地方税10%を含む)に対して、ドイツ、オーストラリアが45%、イギリスが40%、アメリカが35%。なかでも低いのは、11.5%のスイスと0%のモナコです。中略。法人税は、日本では地方税を加算した実効税率は40%になりますが、ヨーロッパの平均はだいたい25%、シンガポールや香港、台湾などのアジア諸国にいたっては10%台まで下げてきています。P.168


    • GDPと税収額と公共サービスの充実度みたいなところとか、一応しらべておきたい。




  • 企業や産業は、時代に合わなくなったら、死滅するものです。時代の変化に合わせて変革できない企業や産業は、いくら政府が保護政策をとっても、しばらく延命するだけで、再び元気になることは考えられません。P.174


    • 死滅するってことは繁栄の時期というか少なくとも成立しえたということでしょうけど、未だに立ち上がってないようなことをいわれてしまうRFID業界の行く末は、やはり冷静な目で見つめ直すことが必要だ。




  • 会社をいくつ受けても落ちるような人を税金で助けるという発想自体がナンセンスです。おそらくそういう学生は勉強も死ぬ気でやってこなかったのでしょうから、放っておけばいいのです。P.189


    • 強烈すぎるw




  • 日本からアメリカへ向かう留学生が年々減少しています。10年前まで年間4万人を超えていた留学生は現在、3万人ほどに減る一方、インドと中国が約10万人、韓国が7万人と増加傾向にあります。ハーバード大学の学部大学院を合わせた国別留学生数、1999-2000と2009-2010で比較すると、中国が227人から463人、韓国が183人から314人に急増している反面、日本は151人から101人に減少しています。P.198


    • もうちょっと前のデータも見てみたい気がするけど、いずれにしても年間100人以上も日本からハーバードに行ってるのか。みんな戻ってから何してるんだろうか。




  • どれほど徹底しているかというと、幼稚園の段階からすでに起業家精神の涵養に乗り出すのです。年齢に応じて自分の目標を定め、自分の力で学ぶ方針へと教育内容を変えました。ですから、デンマークには先生がいません。先生という呼称をやめ、「促進させる役割の人」を意味する「ファシリテーター」に統一したのです。P.191