グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)

グーグル時代の情報整理術 (ハヤカワ新書juice)


タイトル的には完全にスルーで良さそうなんだけど、パラパラめくったら意外と面白い。良い意味でタイトルを裏切った内容でした。


具体的な整理術とかグーグルの使いかたについては既知の内容ばかりだけど、その背景にある考え方とか、著者がその立ち位置に到るまでに経験した(特にパーソナル系)イベントが心情含め事細かに描写されているため、なんか納得感が20%増量みたいな感じ。


仕事とプライベートの融合とか、嘘の無い人生のためのライフログ、のあたりは個人的に今年の主要課題の一つだったりするわけですが、そのヒントについて具体的な示唆は得られなかった。


以下、気になったとこ。

  • 自分を決めつけるのではなく、自分自身に心から正直になろう
    • 余談だが(余談かよw)、自分に正直にならないと、あなたの生活は(まわりの人々の生活も)意味もなく複雑になる。自分自身(そして他人)に正直になることは、正しいだけでなく、時間とエネルギーの節約にもなる。考えてもみてほしい。嘘は嘘を生む。その嘘はまた次の嘘を生む。その嘘はまた次の嘘を生む。すると、誰にどんな嘘をついたのか覚えていなくてはならなくなる。嘘をつきとおすには、膨大な精神力が必要だ。そのエネルギーを、もっと生産的な物事に回した方がいいのではないだろうか。


      • まず色んな自分がいて、そのまわりには色んな人がいて、それぞれの組み合わせでもって演じたり演出してたりする。それは見方によっては嘘を積み重ねる行為かもしれない。すると、それだけで疲れてしまう。(面白さもあるけど)。なので、試行的に全ての自分をオープンに記録してみたらどうだろう、と思う今日この頃なわけです。自動的に記録されたアーカイブの中にも、あるいはそれを見ている周りの人達の反応を通じても、本当の自分が見えてくるんじゃないだろうか、なんてね。


  • いつもそうしているからといって、そうしなければならないわけではない。
    • 9-17時という考え方は、テイラーシステムあたりに起源していて(ほんと?)、学校教育もそれに引きずられてたりするらしい。
    • この伝統は、組み立てラインの労働者の規律を保たなければならないという制約から生まれたもの
    • 小学生の夏休みって、何のため?


  • カクテル・パーティ効果
    • ガヤガヤとしたカクテル・パーティに参加しているとき、騒音の中から突然自分の名前が聞こえた経験はないだろうか?その前後の会話には一切耳を傾けていなかったにもかかわらず。
    • 人間の脳は、あなたが思うよりもはるかに多くの情報を認識しているということだ。


  • 知識は力ならず。知識の共有こそ力なり。
    • 知識を独りで抱え込み、特別な知識があるのは自分だけだと周りに見せつけるために、がむしゃらに仕事をするよりも、この方がずっと効率的なアプローチではないだろうか。独りで仕事をするのではなく、チームを作ろう。得意なことと不得意なことを正直に認めよう。得意でない仕事を他の人に引き受けてもらい、その人を信頼しよう。さらに、自分より頭がよく、経歴、四点、スキルが異なる人々と仕事ができれば、いっそう効果的だ。自分の知識を提供し、相手にも知識を提供してもらおう。そうすれば、あなたは相手から学ぶことができる。相手もあなたから学ぶことができる。その結果、双方の仕事の効率が上がる。これこそ、真っ先に取り組むべき仕事ではないだろうか?


  • 思い込みの制約ではなく、現実的な制約をくぐり抜ける術を身に付けよう。
    • 私たちは、もともと存在していない制約に締め付けられている。


  • ペーパーレスオフィスなんてのは、1975年ぐらいから提唱されていた


  • あなたが毎日できる最も大事なことは、10分間か15分間でもいいから、自分の時間を設けることだ。その時間をつかって心をすっきりとさせ、五感を落ち着かせ、仕事を整理し、先のことを考えよう。目標の何合目まで到達したのか、それからどうしたいのか、何が障害物になっているのかを考えよう。木ではなく森を見よう。目標の実現にだれの助けがいるか、その人々とどう協力すればいいかを考えよう。


  • では、どうすれば仕事をプライベートのバランスを実現できるのか。
    • はっきり言えば、できない。現代の頭脳労働社会において、仕事とプライベートのバランスは幻想でしかないのだ。より現実的な目標は、ストレスを減らし、イライラを取り除き、生産性を上げ、人生の喜びや困難とうまく付き合いながら、仕事とプライベートを融合させることだ。
    • 週末のちょっとした時間や待ち時間、単純作業や無意識の作業の間に、こまめに仕事をこなせば、イライラしなくて済む。さらに退屈な作業を効率的な仕事の時間に変えることができる。


  • 整理術の原則

1.脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てよう
2.なるべく早く、頭の中から情報を追い出そう
3.ながら作業は一般的に効率を低下させる
4.物語を使って覚えよう
5.いつもそうしているからといって、そうしなければならないわけではない
6.知識は力ならず。知識の共有こそ力なり。
7.思い込みの制約ではなく、現実的な制約を潜り抜ける術を身に付けよう。
8.自分を決め付けるのではなく、自分自身に心から正直になろう
9.制約を無視すべきケースを知ろう
10.エンジンをかける前に、どこへ向かっているのか、どうやって向かうのかを明確にしよう
11.目標の達成方法に幅を持たせよう
12.情報を整理するのではなく、検索しよう
13.本当に記憶の必要なものだけを記憶しよう
14.大きなかたまりを、ちいさなかたまりに分けよう
15.週一回、重要な情報を見直す時間を設けよう
16.完璧な整理術など無い
17.あとで検索しやすいように、デジタル情報には関連キーワードを追加しよう
18.文脈の変化を見越して、メモを取っておこう
19.文脈の似た仕事をまとめて行おう(cf.ACDCの話)
20.仕事とプライベートのバランスを取るのではなく、融合させよう

  • 考えるな、滑れ!
    • すべてのコブやターンを予測し、記憶することなどできないのだと。雪の正確な状態を見極め、滑走中のスキーヤーの軌道を予測することなど、脳には到底無理だ。あんなに楽しく滑れたのは、ただ前かがみになり、両足をリラックスさせ、あれこれ考えるのをやめ、スキーに身を任せたからこそなのだ
    • 衝突する前にすべてのコブを予見することなど、誰にも出来ない。気を動かすことも、斜面の傾斜を変えることもできない。私たちに出来るのは、前に進むことだけだ。ワクワクしながら、無事に生きてふもとまでたどり着けると信じて。