たった一度の人生を記録しなさい 自分を整理・再発見するライフログ入門

たった一度の人生を記録しなさい  自分を整理・再発見するライフログ入門

たった一度の人生を記録しなさい 自分を整理・再発見するライフログ入門


その昔、ライフログ系の本が出ると必ずといっていいほど最後はリコメンデーション系というか購買促進系の結論に飛ばされてた感じでしたが、やはりシナリオ的に無理があるのか、ちょっとそういうの減ってきましたよね。最近だと、パーソナルライフログで輝きはじめる貴方の日常生活w、みたいな感じでしょうか。


何にせよ、モバイルインターネット端末やらSNSやらの普及もあって、ライフログという言葉や考え方が思ったより早くコモディティ化してきたのは個人的にはビックリです。


色んな便利なツールがタダ同然の価格で転がっている世の中、すなわち、記録するという行為のコストが限りなく低減している今日、あなたの人生を記録されてみるのも一興ですよ、というのが本書の主張かと。


自分の人生を記録することの面白さ、デジタルツール活用して効率的に記録するためのポイント、振り返り活動の大切さと面白さ、といったあたりを、誰にでも分かりやすく、最初の一歩を踏み出しやすいようにガイドしてくれています。


ちょっとツール偏重なところが気になりますが、ライフログの実践を考えれば、それはしょうがない。


いかにライフログの面白さや、そこからの発見、成功事例などを伝えたところで、じゃぁ、どうやって始めるの?というところを掘り下げないわけにはいかないですもんね。


その意味で「自分のライフログを構築してみたい」となった読者に「どの切り口で、どんなツールを使って」というところに踏み込んでるのが本書のポイントかと。


ライフログ自体の効能とか有用性についても、軽いタッチながら結構大事なことが書かれてると思います。


サマリーとしては、
・人生を再体験するトリガー
・記録は成長の道具
・自分は自分のことをわかっていない
みたいに綺麗にまとめてますが、


「けれど、私はふと友人のことを思い出したときに、かつて一緒に友人たちを共有した大切な体験や、彼らから学んだこと、一緒に居て気付いたことをすっかり忘れてしまっていることに気がついたのです。それは非常に悲しいことでした」(P.20)


このあたり、グサっと来ますよねw


個人的には、人類の発展を考えると、いつの日か小学校の授業にライフログの科目が出来てくる(そしてそこにおいてRFID技術が重要な役割を果たす)のが必然と考えています。


もちろん、現時点ではそんな科目もテキストも存在していないのですが、まずはスモールスタートして、自分で感じたことをフィードバックしながら徐々にライフログの範囲を拡げていくところまで提案してくれる本書は、今のところかけがえのない教科書かもしれませんね。


まぁ、とりあえず何世代か回してみないとデジタル時代のライフログの効用とか不幸せってのは分からんでしょうね。




メモ:

  • けれど、私はふと友人のことを思い出したときに、かつて一緒に友人たちを共有した大切な体験や、彼らから学んだこと、一緒に居て気付いたことをすっかり忘れてしまっていることに気がついたのです。それは非常に悲しいことでした。P.20


  • ライフログとは、毎日を特別な日だと考え、それを大切に生きるための方法の1つだと考えています。記録を残すことで、日々の生活はより豊かなものになるのです。P.38


  • 大事なのは「やらなければいけない」ことではなく「やりたい」ことを書くと言うことです。毎日1つ以上書くとルールを決めて、「やりたいこと」を記録し続けます。そうすると、この「やりたいこと」の蓄積が、本当に自分がやりたいこと、本当の自分の夢、といったものを見つけるのに非常に役に立ちます。P.99


  • 誰かに名刺をもらったら、とにかくその場でFastEverSnapで写真を撮影してEvernoteに保存します。その記録は「日時と場所」が自動で残せます。あとで思い出したり、検索したりする上で「いつ、どこで会ったのか」という情報は意外と大きな要素になってきます。P.110


  • メモは見返して、使って、そこではじめて役に立つものです。ライフログもあとで見返すことが無ければ何の役にも立ちません。P.168


  • ライフログを残そうと意識して、実際に記録を残していくことは、日常生活のあらゆる場面で情報のアンテナ感度が高くなるのです。P.204


  • 自分自身をより深く知り、よりよい自分への足がかりとすること。ライフログの本質とは、そういうものなのではないかと私はかんがえています。P.208