愛をこめて (マーブルブックス)
- 作者: 藤代冥砂
- 出版社/メーカー: マーブルトロン
- 発売日: 2011/06
- メディア: 単行本
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「もう家に帰ろう」の続編がようやく6/30に出るそうな。待ちきれずたまに本屋さんでそれっぽいコーナーをチラ見してたときに偶然発見。
写真家としてよりは、各地から旅人として家族に宛てた絵葉書、旅先や、その時々の出来事などについて書き下ろされたエッセイ集。素朴な優しさが伝わって来る感じは、まさに「愛をこめて」という感じですね。
そして彼の旅に対する考え方は完全に移民スタイル、「次がある」と仰られる通り。言葉の端々に素敵な完成が溢れ出てます。
藤代さんに比べて、自分が如何に家族を大事に出来ていないか。行動実績は勿論、気持ちの面でもまだまだ。
あと、ウブドのアマンダリとか竹富とか、我が家と旅先が重なる部分が多くて勝手に親近感。せっかくアマンとまってるのに、市場に屋台飯を食べに行くなんて全く同じパターンで笑えました。
まぁ、なんにせよ「もう家に帰ろう2」が待ち遠しい限りです。
メモ:
- P.4 それは用件を運ぶものではなくて、何か旅先の空気を送ることのような気がする。もしくは、気持ちとでも言えばいいのだろうか。自分からの便りの文面に並ぶのは、さして重要でもない感想や言葉なのだが、切手を貼って、ポストに投函したときに、心の奥にコトンと音がして、旅のコンマとなる。
- P.76 元は一種だった生命が、環境やら何やらによって細分化されていく一方で、もうこれ以上進化したくない、再び一つに戻りたいという願いが、どの生命にもあるのかもしれない。それはある種の郷愁とも言える。
- P.98 家族。私はその言葉の中に、かつて夢や希望、自由、そして愛という言葉が担っていた力をそこに感じる。私たちは家族を取り戻すことで、やり直せる事が沢山あるような気がする。
- P.104 旅をする楽しみの一つは、こんな風に、訪れた場所に生きる自分を想像することでもある。現実には一粒の人生を生きるしか無い私でも、行く通りの人生を生きてみることができる。旅するという事は、そうして遠くの土地の未知だった暮らしを自分の中に通して行く事でもあるだろう。
- P.136 旅のいいところの一つは、荷物を選別している時に、何が無駄かを知れる事だ。普段はいい気になって買い物をしていても、全てを持って行く事はできない。
- P.145 「必要なものを知るために、時には不必要なものを並べてみなくては」
- P.163 「今をより良く過ごす」 考えてみれば、それはいつもの生活もそうであるべきなのだった。今日という一日をちゃんと送ること。そこから始まるものの他に何があるというのだろう。