ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け

ものづくり革命  パーソナル・ファブリケーションの夜明け

ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け


プロシューマとかになるとちょっと違うんだけど、マスがセグメントになって更にパーソナライズされてくると、やっぱり今度は自分で作る楽しみみたいな方向に行くんだろうな、と感覚的には分かってるんですが、マーケティングじゃなくて「ものづくり」の観点から考えて、この潮流はどう解釈されているんだろう、と思って本書を手に取りました。


結果、(いつもどおり)自分の考えの浅はかさに気付かされ大変幸せな訳ですが、本書でいうところのパーソナルファブリケーションという概念は、ほんとに世の中を変えて行くものなんですね。それが求められる背景も、日本とその他では全然違う。とくに開発途上国においては生き抜く為に必須だったなんて、想像もできなかったなぁ。


デザイン思考の流れでプロトタイプづくりの重要性とか思って手を動かし、そこそこの成果が見えてはいるんですが、もっと突き詰めて行かないといかないですね。他社はまだそういうことをやってないとか出来ないと見せかけて、実は日本を出たらみんなやってることなんだ。


Arduinoとか趣味で触ってますけど、これはもう趣味とかじゃなくて、最低限しっておかなきゃいけないないようだね。これからは「英語・金融(会計)・IT」が最低限必要とか言われてたような気がしますが、ITの一環として広義の電子工作も入れた方がいいように思いますわ。




以下、メモ。

  • それと同様にアトムの世界でも、巨大な製造設備を必要とする生産方式から、パーソナル・ファブリケーションに移行するというのが著者の目指している方向である。一人一人が必要とするモノを一品だけ製造するというのは奇異な印象であるが、これは歴史を展望すれば充分に納得のいくものである。P6


  • 私たちは長い間、世界の国々の発展にテクノロジーが果たす役割は、ローテクからハイテクへというテクノロジーの進化の歴史を反映しているという先入観を抱いていた。ファブラボでの経験が教えてくれたのは、それと逆で、発展から取り残されている地域ほど最先端のテクノロジーを必要としていることだ。P25


  • リベラルアートという言葉は、もともと、このような個人を開放する手段の学習と言う、人々を鼓舞するような意味合いを持っていた。P.45
    • Lifelogもこの文脈で語られたらいいな。


  • 技術が職人から切り離され、大量生産が個人をクリエーターから消費者に変えたのが過去だ。未来は自己増殖型の分子ファブリケータが普及する時代。P70


  • 二人の子供は、この歳で既に、工業技術というものは自分の為に他人がやってくれることではなく、自分の為に自分でやることだと思うようになっている。P.81


  • 郵政公社の役員たちは、コンピュータを内蔵したレゴブロックを利用して、物品と情報の物理フローのモデルを作成できるようになった。手で触られるインターフェース、アクションに対する即時のフィードバック、チームワークで問題を解決できることが気に入る点では、企業の経営者も子供たちと変わりがない。P.154
    • これは、RFIDの提案ツールとして本当に作らなくてはいけないものだと思っている、もう4年も前から。


  • 彼女は満面の笑みを浮かべて「私はコンピュータが嫌いだけど、この展示はコンピュータがないからいいわ」と言った。本当は、つい先ほど彼女の目の前にあったテーブルには、インターネットに接続された17台もの埋め込みコンピュータが組み込まれており、それがテーブルの裏面に取り付けられた何百個ものセンサーマイクロコントローラと通信していたのだが、彼女はそんなことを知る由もなかった。P214


  • これらの組織の区別は、テクノロジーの利用者と開発者との間で労働が完全に分離している為に生じたものであって、ほぼだれもが、ほぼ何でも作れるようになれば、その区別には意味が無くなるだろう。中略。パーソナルファブリケーションの世界では、エンジニアリングも、専門職ではなく、だれもが共有できるスキルになる可能性がある。P.222
    • 意味が無くなった領域の事例はないかな。


  • リベラルアートという言葉の元々の意味は、表現の手段に精通することで人間を解放し、人間に力を与えることだった。パーソナルファブリケーションという新しい表現手段は、人間に技術的な力を与え、経済的な解放、知性面での解放、そしてある種の(中略)世界中のあちこりのファブラボにやってくる人々の顔に浮かぶ表情、それは歓喜だ。P.258