残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法

なんでか分からんけど、橘玲さんと藤沢数希さんって同一人物だと思ってた、なんか言ってること似てません?それはさておき、良くも悪くも読まされたなぁという感じ。自助論よんだあとだから、なおさら引き込まれてしまいました。


自己啓発なんて意味ないぜ、ってことを様々な角度(進化心理学までも持ち出して)から論証していくわけですが、そのプロセスが本当に読ませます。それだけに結論のところは少し拍子抜けなんですが、まぁ納得しうる内容だし、背中を強く押される感じもするし、こういうパターンが正解なんですかね。


自己啓発でも何でもいいんだけど、自分をエンパワーすることは出来てるんだけど、どうも方向性が間違っているというか勿体ない方はたまに見かけます、ほんと勿体ない。(ブレーキふみながら進んでる今の自分には何も言う資格はありませんけどね。。。)まぁ、先がどうなるかは分からないけど、日々を楽しむんであれば「伽藍を捨ててバザールに向かう」べきですよね。自分はそっち方面の入り口ぐらいかな。はやくドップリつかりたいんだけど、もう少し片付けないといけないことがある。今年中になんとかせねば。


色んなヒトの主張を寄せ集めて新たな文脈に仕立て上げる。しかも引用元は非常に多岐にわたってるので、なんとも勉強家なんだなぁ、と吃驚してしまいます。引用文献のほうも気になっちゃう感じで芋づる式に読んでみたい本がたくさんでてきちゃいました。


基本的には本書の考え方に賛成ですが、プロセス重視というかMの人にはまた違う考え方があるような気がする。ゴールに辿り着くことは勿論重要なんだけど、それが全てだと達成した瞬間に人生が終わってしまうというか、そこへ辿り着くための苦行こそ楽しさみたいな考えに基づいている場合、もうちょっと無茶な目標設定でもいいんじゃなかな。まぁ、死なない程度にってのが前提ですけど。


サマリーとしては帯にある通り、「伽藍を捨ててバザールに向かえ」「恐竜のしっぽの中に頭を探せ」ってことですね。




めも。

  • ところでなぜ、身体的な特徴や運動能力の遺伝が当然のこととされていて、知能や性格の遺伝は激しい抵抗にあうのだろうか。中略。知能が遺伝で決まるというのは不平等を容認するのと同じことになる。P28


    • 他の人と比べて自分が劣っていると感じることは良くありますが、ほとんどの場合、努力不足を自覚してるもんだから、その原因を自分のせいにしてました。さすがにいい歳なので、出来ないことの原因は見極めて他の手段も考えていかないといけませんよね。。。




  • アメリカ人が日本の履歴書を見ていちばんびっくりするのは、生年月日を書かせることと、顔写真を貼らせることだ。生年月日欄は「年齢で差別します」と宣言するようなものだし(日本の会社は実際そうしている)、顔写真は性別や人種が一目で分かる。P65


    • へぇ。




  • グローバルな能力主義の世界では、夢を諦めてしまえば、マックジョブの退屈な毎日が待っているだけだ。だからリップスには、夢を諦めることが許されない。死ぬまでロックしつづける以外に生きる術がないからこそ、滑稽なまでに必死になれるのだ。好きなことを仕事にすれば成功できるなんて保証はどこにもない。それでもぼくたちはみんな、好きなことをやってなんとか生きていくほかない。P82


    • おぉ、まさに自分が置かれている境遇だ。好きな仕事で充分に稼げている訳ではない割に、自分には必死さが足りないのかもしれない。いや確実にそう。




  • この物語(木更津キャッツアイ)がぼくたちを引きつけるのは、それが「どこにもない友情のユートピア」を描いているからだ。彼らは”草野球とビールの國”のピーターパンで、高校時代のもっとも輝いた瞬間をスナップ写真にとって、アルバムの同じページをめくるように、あるいはビデオの巻き戻しみたいに、その場面をエンドレスで再現している。ぶっさんが医師から余命半年と宣告されているのは、永遠に続くその日常を誰も壊すことができなからだ。P112


    • まさか木更津キャッツアイを引き合いに出すとは思わなんだ。最終回が近づくにつれて感じる何とも言えない寂しい感じはこれが原因だったのか!ちなみに、ぶっさんが死んだあとのワールドシリーズの切なさも好きです。




  • グローバルな市場経済では、お金持ちは人種や宗教、国籍・性別・政治的な主義主張にかかわらず、誰とでも積極的につきあい、ビジネスを拡大しようとする。それに対して貧乏人は狭いムラ社会から出ようとせず、せっかくのビジネスチャンスを逃してしまう。


    • 耳が痛い。




  • いまは満腹のコウモリも、明日は飢餓に怯えているかもしれない。相互扶助の仕組みがなければ、空振りが三日続いただけで死んでしまう。その過酷な条件を考えれば、吸血コウモリが置の交換をするのは極めて合理的だ。このように動物の世界には、返報性のルールがあふれている。P174


    • RFID業界もコウモリを見習った方が良いかも




  • 他人から注入された信念は否定することができるかもしれないが、自分で自分を否定するのは不可能だ。いったんコミットメントしてしまうと、ひとはそこから逃れられなくなる。これはカルト球団だけの話ではない。恋愛でも就職でもマイホームの購入でも、ぼくたちはきわめて簡単に自己洗脳状態に陥り、過去の選択を正当化してしまうのだ。P181




  • 「うまい設け話」にひとが簡単に引っかかるのは、「特別な自分には特別な出来事が起きて当たり前」と、こころのどこかで思っているからだ。だから、他人が騙された話は鼻で笑っても自分におなじ幸福がやってくるとあっさり信じてしまう。P185




  • 一見対等のように見えても、ぼくたちは無意識のうちに支配と被支配の関係を作り出す。それは、ヒエラルキーのなかでしか生きられない社会的動物の宿命みたいなものだ。P209


    • 自分はいつだって被支配な感じがする。




  • これは彼らが、自分の得意なことや好きなことに精魂を傾け、余人の到達できない高みに達したことを誰もが認めているからだ。この場合、お金はそうした成功(評判)にオマケとしてついてくるにすぎない。P221


    • んー、でも余人の到達できない高いに達するまでの費用を調達するための努力ぐらいはしてるんじゃなかろうか。




  • 多様性と流動性のあるバザールでは、ネガティブな評判を恐れる理由はない。不都合な評価を押し付けられたら、さっさとリセットして自分を高く評価してくれる場所に移っていけばいいだけだ。だからここでは、実名でポジティブ評価を競うのがもっとも合理的な戦略になる。中略。日本は世界でもっとも自殺率が高く、学校ではいじめによって、会社ではうつ病で、次々と人が死んでいく。情報革命はネガティブ情報をがん細胞のように増殖させ、伽藍を死臭の漂うおぞましい世界へと変えてしまった。僕たちは生きるために、伽藍を捨ててバザールへと向かわなくてはならない。P246


    • 仮に皆がバザールへ向かうとなると伽藍はどうなる?