ニコニコ動画が未来をつくる ドワンゴ物語 (アスキー新書)


好き嫌いとは関係なく、抑えるべき流れは抑えないといけないなぁ、と強く感じました。スコトーマ、かかり過ぎなんだね。


そんな感じで、面白そうだと思いつつ実は最近までアカウントすら持ってませんでした、ニコニコ動画。別に敬遠してたわけでは無いんだけど、コアな部分に対してはやっぱり無意識に距離を置いてしまってたのかな。ドワンゴもCMのイメージしか無かったりするし、割と近い業界なはずなのに知らない事ばかり。なんだかとても勉強になりました。


ドワンゴおよび近辺の方々の人物描写も面白いんだけど、やっぱり幾つかの代表的なサービスがリリースされるまでの経緯とか裏話みたいのが示唆的。繰り返される創造と破壊、そのダイナミズム。新しい世界を作り出せるのは素晴らしいことだ。


遊びの延長線上で作ったようにしか見えないサービスと見せかけて、「誰も見た事のないネットサービス」を作る為には、運まかせ的な一瞬の閃きに頼るのではなく、背景とか経緯とかトレンドを考えながら、プロトタイプを試行錯誤しながらコンセプトを練り上げて行く。思いのほか緻密な作業。それを結構なスピードで実行し、思いのほか早く壁にぶち当たり、色んな人に助けられながら何とか乗り越えて行くんだけど実は直近のビジネスとしては危ういどころの騒ぎじゃなかったりする。あぁ、耳が痛い。


でも、どう考えても、リスクテイクして何か違う事をしていかないと、ていうか、考え無しに同じ事をし続けることが非常に最高に圧倒的にリスクテイクしてるかもしれないんだということに、そういう当たり前の事に、もっと目を向けようよ。という気はする。


エピローグの「これをゼロから作った会社の人たちは、偉いなぁ。失敗するかもしれないのに、そこに賭けてしまえる勇気と、いいものをストレートに出せる素直さと。」という言葉がまた印象的。


もっとのめりこまないといけない、それはもう後ろ指さされるぐらい、やりこまないと。


「コメントが加えられると、そのコメントの面白さがさらに動画の面白さを際立たせる。動画そのものが無味乾燥で、何も面白い内容を含んでいないときだってある。それでもその無味乾燥さを嘲笑うコメントが面白ければ、全体としては面白いコンテンツになってしまう。つまり画面を流れるコメントは動画の単なる「オマケ」ではなく、動画とコメントが合体して新たなコンテンツを生成してしまっているのだ。」


この考え方は抽象化するまでもなく、他の領域にも適用できるロジックだと思う。