2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)

2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)

2022―これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書)


【本書を手に取った理由】
Nexus7購入特典の2,000円クーポンを消費するべくGooglePlayの電子書籍コーナーをフラフラしていて何となく、とくに期待すること無く購入。


【サマリー】
読み終えて冷静に考えるとツッコミどころは色々あるものの、何となく読み始めた人ですらグイッと引き寄せて最後まで離さないあたりは流石の神田節であるなぁ、と。内容的には、マクロ的な諸要因(人口動態/周期的循環などから読み解く社会経済動向)から考えるとお先真っ暗な「日本」と、今後どのように付き合っていけば良いのか、というお話し。結論としては、自分たちおよび子供の世代ぐらいまではアジア他国の経済成長が続きそうだから、アジア(というか儒教圏)の一員であるメリットを活かすべく日々の研鑽とビジョンのブラッシュアップに邁進しましょう。ちなみに早く「会社」との付き合い方については考え直した方がいいよ(全面的に辞めろ、というわけではない)、って感じでしょうか。タイトルは釣りと思った方がいいです。




【メモ】

  • P.48

確かに言えることは、過去の歴史サイクルと同様、私たちは2015年までに「圧倒的な欠落」に気付くだろう、ということだ。2015年には、私たちには、何も無いことを知ることになる。いったい何がないのか?おそらく人間の心について、そして人間の可能性について、何も知らなかったことに、はじめて気付くのだと思う。この「圧倒的な欠落」を埋めるために、次の歴史サイクルが本格的に始まることになる。欠落を埋めていくために、明治維新以降はヨーロッパがモデルになった。終戦以降では、アメリカがモデルになった。ところが、今回の歴史の転機では、日本には全くモデルがない。それはなぜなら、おそらく日本が世界のモデルになるからである。



  • P.63

このように「強制的リセット」がかけられるまで暴走を続けるのが、組織寿命の末期の典型的な症状だ。あなたもおわかりのとおり、日本は、このようなプロセスをいま進行中だ。権力ある政治家、行政マン、大企業にいる経営幹部は、非常に優秀な人たちで、日本のためにすべてを投げ出して献身的に働いている。存続していくためには、新しい価値観に基づく組織に生まれ変わらなければならないと誰もがわかっている。しかし、まったく変われない。
これは彼らの能力の問題でも、人間性の問題でも、政策の問題でも無い。単に組織の寿命が末期であるということだ。旧来の価値観によって築かれたシステムを、新しい価値観に基づくシステムに切り替えることは、そもそも組織が成立している収益基盤(=権益)を失うことである。つまり組織にって自殺行為となるから、旧来の価値観と食い違う分子を徹底的に退ける。

  • P.136

会社の未来をはばむ、3つの壁
・会社では社員が育たない
 社員が育つ前に、事業が歳を取ってしまう
・会社では、無から有を生み出す経験が積めない
 リスクを最小限にするためのプロセスを踏むことと、ライフサイクルが極端に短くなった事業をスピーディに立ち上げることは、真っ向からぶつかり合う。新規事業の成長期に乗り込むドアは一瞬しか開いていないので、切符を買うかどうか、じっくりと判断しているゆとりはない。乗り込んでから考えることで、ようやく経験が積める時代になってきている。
・一部の仕事をしている社員が抜けると、会社には何も残らない
 以前であれば、会社に属すことで影響力を持てた。以前であれば、会社に属すことで有能な人材に出会えるようになった。以前であれば、会社に属すことで給料が増えた。以前であれば、会社に行かなければ仕事にならなかった。。。唯一、会社が提供できることは、経験となった。中略。いまや経験は、有能なビジネスパーソンにとって、お金よりも価値を持つ。逆に、その経験を積むことが出来なければ、有能な社員にとって、会社に残る理由がなくなってしまった。もし会社が、価値ある経験を積ませることができなかったら、どうなるだろうか?結末は明らか。頭と手足しかない組織で、手足だけが残る。

  • P.177

時代の転換点では、1を10にするだけでなく、0から1を生むことができるか。自らの経験や知識そして人脈を動員し、解決策を実行、結果を出せるか。こうした個人の内なる気付きを世界に向けて表現し、さまざまな社会問題を解決していく知識創造を加速できるのが、エクス・フォメーションなのだ。私の考えでは、エクス・フォメーションは、これからの時代、個人が成長するにあたって、最もフォーカスすべき概念だ。イン・フォメーションを正確に記憶するだけで無く、自ら表現することを通して、世界に貢献する。そのようなエクス・フォメーションの場を作ることは、知識創造時代で活躍する人の、成長プロセスを大きく加速することになる。ex.TED

  • P.198

何が儲かるかで仕事するのではなく、何に情熱を持ち続けることができるか。それからはじめないと。つまり、ライフワークだ。ライフワークには、希望退職も無ければ、定年もない。

  • P.213

このように会社の競争力を作る文化は大きく分けて3つある。そして、この3つの文化は互いに衝突することが多い。「顧客との親近感」を重視すれば、個別対応をしなければならないが、それは例外を嫌う「経営の効率性」とは矛盾する。「経営の効率性」を重視すれば、予測できる活動にフォーカスしなければならないが、それは驚きを求める「商品/サービスの革新性」とは矛盾する。「商品/サービスの革新性」を重視するなら、顧客ニーズの先をいかなければならないが、それは既存顧客の声を重視する「顧客との親近感」とは矛盾する。

  • P.225

繰り返し繰り返しビジネスモデルを創るうちに、何がうまくいって、何がうまくいかないのか。どんなビジネスが自分に合って、どんなビジネスが自分には合わないのか、感覚が鋭くなっていく。そして、これは自分の仕事だと思えるプロジェクトが現れたときには、それだとわかる。もう疑問無しに、わかってしまう。なぜなら、その瞬間に、リスクという言葉が脳裏から消えるからである。本当に熱中できる仕事に、リスクはない。

  • P.234

江戸幕府末期に、武士に夢を描いてください、と言ったら、どんな夢になってしまうだろう?10万石の大名になりたい、という夢を1865年に描き、それに突き進んだものは、手ひどい挫折をしたことだろう。歴史の転換点では、過去からの延長線上に、夢は描けないのである。

  • P.247

未来へ向かうプロセスにおいて、挫折は、とても不条理に見える。中略。挫折として見えることは、それは過去から続く自分にとっての不条理なのであって、未来から導かれる自分にとっては、まったく合理的なことなのだ。