四つ話のクローバー

四つ話のクローバー

四つ話のクローバー


「夢をかなえるゾウ」とかよりずっと前からファンなんですが最近お見掛けしないなぁ、と久しぶりにblogをのぞいたら相変わらず素敵すぎますね。


かわいそうなチャッピー → http://ameblo.jp/mizunokeiya/entry-11005005359.html


そんな水野さんの近著「四つ話のクローバー」。いつもどおり、捻りすぎて外した感のあるタイトル(私は大好きです)。


夢、幸せ、人間関係、命、といった主題って、いわゆる道徳系アプローチの書き方だと結論が見えすぎてすぐに「はいはい、あれ系の話ね」と片付けられてしまいがちなんですが、水野さんスタイルの特徴は、敢えて手段からかけ離れさせることによって、とにかくストーリーに釘付けにしちゃうところでしょうか。ふざけた話っぽくして面白おかしく読まされてしまうんだけど、読み終わってみると実は大変示唆的な仕上がりになっている。そのギャップが、通常は素通りされてしまいそうなトピックを強烈に焼き付けていく感じ。


これだけ続けられれば、自己啓発とかエンパワーメント系のジャンルにおける新分野を確立したと言えるのではないでしょうか。これからも、あらゆる層に受け入れられやすいスタイルではなく寧ろ、ある層からは熱烈に嫌悪されるぐらいのバランスを保って頑張って頂きたいと、切に願っております。


今回ガネーシャは登場しませんが、馬だったり、ジャパン・ハッピー・コロシアムだったり、地縛霊だったり、氷製のクマだったり、まぁ色々でてきて飽きません。一部やりすぎの感もあって「深沢響=ディープインパクト」とかそういうディテールへの半端ないこだわりは、個人的にはどうでもいいような気もしますよw


もっとも印象に残ったのは、真田さんと天海さんの戦い。ここに、むかしの勝間さんと香山さんの構図を思い出したのは私だけでは無いと思いますが、本書における落としどころは、さりげなく死角無しなのではないでしょうか。


あと、今回の挿絵は何かいいです。




メモ:

  • P.18 まぁ、世の中の人たちにとって、天才とは存在する者というより「存在してくれなければ困る者」なのだろう。天才とは努力の結果必ず至るものだとするなら、みんなは凡人ではなく「ただ頑張ってないだけの人」になってしまうからな。ヒヒン!


  • P.23 君が自分で決めたことをできないのは、意志が弱くて誘惑に負けてしまうからではない。君が、自分の願望をきちんと育てていないからだ。もし君が、心から望む一つの願望を大きく育てれば、他の誘惑(小さな願望)に負けることは無くなるだろう。


  • P.53 空腹は最高の調味料だという言葉がありますが、天海氏に言わせたら「感謝は最高の調味料だ」ということになるのでしょう。確かに感謝は想像力次第でどこまででも食べ物のおいしさを増幅させることができるわけですから、まさに究極の調味料だと言うことができます。


  • P.98 満足することは「負け」ではありません。自分の持っているものに目を向け、それらに感謝することに何のやましさもありません。夢を持ち、欲求を持ち、それに向かって努力すること、人間として成長することは素晴らしいことです。しかし、それと同じくらい、感謝すること、今の自分に満足することも大事なことなのです。

私は、感謝というのは暖かい家庭のようなものだと思っています。そこは自分を無条件で受け入れてくれ、疲れたからだと心を休ませてくれる場所です。そして、忘れてはいけません。私たちは、成長するという戦いをやめ、いつでも温かい家庭に戻ることが出来るのです。そして十分に休んだら、再び外に出て何かを求めて経験をし、成長すればいい。成長することと感謝をすることはお互いにお互いを支え合うことができるのです

  • P.181 今、君たちは、自分の身体が溶けて無くなってしまうと感じているかも知れない。しかし、君たちは消えているのでは無い。形を変えているのだ。植物も、虫も、動物も、君たちとは別のものだった。しかし、彼らは、水に変化した君たちであれば体に取り込むことが出来る。つまり、君たちは死を迎えることによって、植物になり、虫になり、動物になり、この世界の一部になるのだ。そして君たちといっしょになった生物も、いつかは死ぬ。つまり、他の命に形を変えることになる。