ソーシャルメディア維新 ?フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図? (マイコミ新書)

ソーシャルメディア維新 ?フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図? (マイコミ新書)

ソーシャルメディア維新 ?フェイスブックが塗り替えるインターネット勢力図? (マイコミ新書)


フェースブックがアクセス数でグーグルを抜いたこととかはどうでもいいですが、「なんか流行ってるなぁ」ぐらいにしか考えてこなかったソーシャルメディアについて、それがどういうインパクトを持っているのか、なぜ人々を惹き付けるのか、今後何をどう変えていくのか、といったあたりを何故かグーグルとの比較の観点から分かりやすくコンパクトにまとめられています。すごく勉強になります。


ソーシャルコマース、とかカタカナで書くと最先端風だけど、要するに友達と楽しくショッピングってことなんですね。しかも、それを非同期非対面で実現する。確かに、これまでのECは個人が主体でしたもんね。他人のクチコミは参照するものであるけれど、知り合い(とか気になっている人)の口コミは購買トリガーになりえる。リアルの購買行動と同じですよね、面白い。


面白いとか他人事のように言ってられなくて、自社のビジネスもちゃんと適合させないといけませんね。


気にはなってたんだけど何となく敬遠し、後から、もっと早く取り組んでおけばよかった、ってのが増えてきた気がする。はやりものの一部のジャンルには何か敬遠してしまうクセがあるようです。フェイスブックとか、増え行くユーザ数を尻目に何か今さら感でもって更に乗り遅れてしまう。ハードルの低いことはとりあえずやって、それから判断するようにしたい。


メモ:

  • ウェブの最小単位としてウェブページを考えることで、それらに固有のURL、すんわちパーマリンクを与える意味が出てくる。グーグルはパーマリンク同士のネットワークと考えることで緻密で性格な検索技術を実現した。ところが、いまやウェブはパーマリンクのネットワーク構造よりも、そのうえに乗っている大量のコンテンツの流れそのものに意義がある。P.45


  • ソーシャルグラフとは、ユーザとユーザの人間関係はもちろんのこと、興味の矛先であるモノとヒトとコトの関係性など、様々なオブジェクト(物、目標物、対象)とサブジェクト(主題、題名)の関連性のことだ。P.51


  • Gmailはグーグルのサービスの中でもっとも成功した個人情報取得サービスであり、そこに抱えているソーシャルグラフもまた非常に価値の高いものだが、残念なことに個人間のやり取りはメールからソーシャルメディアに移行しつつあり、しかもフェイスブックもまたウェブメール的な機能を包含しつつある。P.63


  • ソーシャルメディア企業の3タイプ。ソーシャルストリームを引き起こすハブになっているタイプ(フェイスブック、ツイッター)、コンテンツを発生させるタイプ(ユーチューブやブログ、Flickr、ブックマーク共有サービス)、ソーシャルストリームを利用して自社を活性化させている借用タイプ(グルーポンなどソーシャルコマース企業)。P.84


  • 好きなアーティストがインスパイアされた曲ならばぜひ買ってみたい。自分と同じ曲を好きだったならば、それを友達にも自慢したい。それは強力な購買意欲の発生エンジンになるはずだ。P.98


  • グルーポンの割引率の高さや販売期間を24時間以内とする制限販売的な要素が購買意欲を煽っているのは事実だが、購買者の獲得を短時間で増幅させ、強力な集客をかなえているのはまさしくソーシャルメディアなのだ。中略。一方通行の宣伝広告ではなく、信頼できる友人による情報、お勧めであればこそ購入してみようという意思決定速度が加速する。P.116


  • ECサイトにとって、フェイスブックのLikeボタンは知人に商品をお勧めし、購入を促進し合うための強力な手段となる。これはソーシャルグラフ上の信頼をベースとしており、グーグルの検索からの誘導や広告などでは作り出せない販売促進手法なのだ。しかも検索は、ユーザが「ほしいもの」という標的を持って能動的になされるため、それをキーワードに置き換えられる人しか見込み客にならない。しかしフェイスブックに併設されているブックマークなら、特に欲しいものがなかった人にも「見たらついつい欲しくなってしまった」という状態を創ることが出来る。


  • 狭義のソーシャルグラフがネット上の人間関係であれば、そこにインタレスト(興味、関心)を加えることで広義のソーシャルグラフ(フェースブックではオープングラフ)となる。中略。モバイルによりユーザがいつでもどこでもウェブにアクセスできることが、インタレストの発生と、その事実をソーシャルメディアにアップロードする行為とのタイムラグを限りなくゼロにした。結果として、ソーシャルグラフに時間と場所の要素が加わって、リアル社会における生活上の全ての要素がソーシャルグラフに焼き付けられるようになった。ユーザは自分がどこで何をしているかを自発的にウェブにアップする。中略。行動ターゲティングマーケティングを考える上で非常に重要な要素がそこにあり、これまでの広告よりはるかに企業にとって使い勝手の良い仕組みが生まれる可能性があることは間違いない。P.163