この1冊ですべてわかる コーチングの基本
- 作者: コーチ・エィ,鈴木義幸
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2009/08/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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先に読んだ「コーチングの教科書」はコンセプト中心で分かりやすさと物足りなさが混在するような読後感だったわけですが、この「コーチングの基本」は実践編というか具体的なコーチングプロセスとか質問例が豊富なので合わせ読むという意味では本当にベストですね。大変満足です。
コーチングの勉強してるはずなのに、なんか自己啓発書的なニュアンスを感じてしまうのは、事例的に扱われている話題における自分自身との共通性が見えまくりなせいでした。
自分と同じような悩みを抱えている人がコーチングプロセスによってどう変わっていくのか、たいへん勉強になりました。
コンセプト/方向性と進め方を理解できたので後は実践あるのみだと思って、手近なところで奥さんとかに試してみてるんですが、やってみるとなかなか難しいですね。でも楽しさとか成果も感じ取ることができているので、もう少し継続してやってみようと思います。
というわけで、素人コーチングの実験台になってもいいよ、という奇特な方がいらっしゃったら是非おねがいします。<(_ _)>
メモ:
- コーチングが効果的な方法となるためには、コーチングが機能するタイミングを見出す、という別の力が要求されるのです。その意味では、コーチングを活用する上で第一に要求されるのは、相手に対する深い関心と、繊細な観察力といえるのではないでしょうか。(P.35)
- 選択的知覚。「この部下は欠点だらけだ」と強く思えば、日々の部下の言動から欠点を発見することが比較的容易になるはずです。一方で、部下の目標達成に向けて役立てることは何か、ということに強い関心を持つことで、さまざまな情報群から役立つ情報を選び取り、手渡すことができるのです。ときには、部下の日々の活動の中から、部下本人すら気づいていなかった「使える能力」を発見することもできるかもしれません。P.37
- 「誰にも相談せずに資料をつくってしまう」ことの背景(D君の場合)P.65
・Cさんやチームメンバーに自分の能力を認めてほしい
・未完成の状態で見せてしまうと、フィードバックを受けやすい
・未完成の状態で見せてしまうと、チームのメンバーに自分の能力が低いと思われてしまう
・だからなるべくフィードバックされないように、自分でも完璧だと納得できるレベルまで仕上げてから見せたいと思ってしまう
・フィードバックされると、自分の能力が低いように感じて落ち込む
- コーチングプロセス、6つの基本ステップ(P.104)
1.セットアップ
2.目標の明確化
・このコーチングであなたが達成したい目標はなんですか?
・何のためにその目標を達成したいのですか?
・目標を達成することで何を手に入れることができますか?
・目標の達成度合いを計測する基準は何ですか?
3.現状の明確化
・目標が達成された状態を100点とすると現状の点数は何点ですか?
・目標の達成に向けてこれまでに取り組んだことと、現在取り組んでいることは何ですか?
・取り組んだ結果、これまでにどんな変化や進展がありましたか?
・現在あなたが取り組んでいることに対して、あなたのステークホルダーはどんな評価をしていますか?
4.ギャップの原因分析
・目標と現状の間にギャップが生じている原因は何だと思いますか?
・目標を達成するためにあなたが変えなくてはいけない習慣は何ですか?
・目標の達成を妨げているあなた自信の課題は何ですか?
・あなたのステークホルダーが認識している課題はなんだと思いますか?
5.行動計画の作成
・さっそく今日から始められる行動、やめられる行動は何ですか?
・その行動をいつ、どこで、誰に対して実行しますか?
・その行動をさらに効果的にするために、工夫できることは何ですか?
・次回のコーチングまでに達成することは何ですか?
6.フォローアップ
- 突然「何を手に入れたいか?」と質問を投げかけられると、多くの場合次の2つに分類されるような目標を話します。
・憧れの目標(Hope toの目標)
・しなければならない目標(Have toの目標)
一方で、コーチがクライアントに語ってほしい本当の目標は、以下の1つのみです。
・真に達成したい目標(Want toの目標)
- 本気かどうかを確かめる質問の例(P.114)
・なぜその目標を達成したいと思っているのですか?
・その目標を達成することはあなたの人生にとってどれくらい重要なことでしょうか?
・その目標について普段どれくらいの時間を割いて考えていますか?
・その目標を達成するためにどんな行動をとってきましたか?
・その目標が達成できなかったとしたらどうしますか?
・その目標を達成したあとの次の目標として何を設定していますか?
・本当に、本当に、本当にその目標を達成したいと思っていますか?
- Want toは探し続けなくてはいけない(ジョブズさん)P.120
「自分の好きなことをみつけなければならない。
本当に満足する唯一の方法は素晴らしいと信じる仕事をすることです。
偉大な仕事をする唯一の方法はあなたの仕事を愛すること。
まだ見つかっていないなら探し続けること、止まらないこと。」
- 過去を手がかりとするための質問の例(P.122)
・これまでどんな仕事をやってきましたか?
・何の仕事をやっているときに楽しさや充実感を感じましたか?
・仕事において譲ることのできないこだわりは何ですか?
・これまで何を大事にして生きてきましたか?
・座右の銘や好きな言葉、大切にしてきた言葉は何ですか?
・寝食を忘れて没頭してきた趣味などはありますか?
- クライアントを「自責」の状態に導く質問の例
・今の発言は他責に感じます。あなたはどう思いますか?
・あなたは先ほどから予定通りに進んでいない理由を「○○が・・・」と自分以外の誰かを主語にして説明しています。「私が」と、自分を主語にして説明し直して頂けますか?
・いまの発言は、自分のチームに起こった出来事なのに、まるで傍観者が話したような口調でした。あなたは当事者の一人ではないのですか?
・ここまでのあなたの話はすべて「僕は悪くない。僕は正しい」と大声で私に主張しているように聞こえてきました。あなたが私に一番伝えたいことは何でしょうか?
・もし仮に、この事態を引き起こしている原因の一部があなたにあるのだとしたら、それは何ですか?
・あなたはいま、「自分が正しい」「自分は被害者だ」と証明することと、目標を達成することのどちらを優先していますか?
・もしこのまま誰も動いてくれない、誰も解決してくれない状態が続くとしても、あなたはこのまま何もせずに指をくわえて見ているのでしょうか?
・あなたはいま、自責ですか?他責ですか?
・今の状況でも、あなたにできることがあるとしたらそれは何ですか?