エコを選ぶ力―賢い消費者と透明な社会 (ハヤカワ新書juice)
エコを選ぶ力―賢い消費者と透明な社会 (ハヤカワ新書juice)
- 作者: ダニエル・ゴールマン,Daniel Goleman,酒井泰介
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/11/20
- メディア: 新書
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環境問題って、なんか問題って言葉が可愛く見えちゃうくらい構造が複雑で、自分がすべきことは何なのか、それが事態の解決にどう繋がり得るのか、正直わかりません。
もはや分かろうとする努力も放棄してたわけですが、本書にでてくる「エコロジカル・インテリジェンス」ってのは良い言葉ですね。自尊心くすぐる系というか、みんなで賢い消費者になろうよ、ってのは受け入れられやすいですよね。
当然ながらエコロジカル・インテリジェンスは消費者サイドだけの話ではなく、企業経営の最適化にこそ必須の感性。それも、消費者に嫌われないため程度の話だけではないあたりが時代の流れを感じる。
大学に入ったときに割と集中的に自然環境問題系についてお勉強したけど、こういう視点があればもっと面白かったかも。まぁ、インターネットと結びつけたソリューションなんて当時の環境では思いつくはずもないか。
根本的透明性さえ確保できれば最終的に市場経済のメカニズムが何とかしてくれる、ってのはさすがに浅はかな感じがするけど、目指すべき姿は格好いいに越したことはないから、まぁいいのかな。
変わるときはあっという間でしょうから、今から準備をしておくのは悪くない。
LCAとロギングと自動認識技術ってのは、当然ありですよね。佐藤一郎先生の論文の通りか。
メモ多すぎた。
- 脳は目前の脅威には敏感だが、ゆっくりとミクロのレベルで進行し、地球全体で進む環境的脅威というべき脅威を認めることには長けていない。脳は限られた範囲の視角、聴覚、圧力などの刺激には素晴らしい反応力を持っている。だから、虎が迫ってきたり、向こう見ずなドライバーなどには、すぐに気付くことが出来、瞬時に対応できる。しかし環境上の脅威に対しては、そうはいかないのだ。P40
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- ゆでがえる?耳が痛すぎる話で、なんとか打つ手を探さねば。
- 人間の頭脳は、独特の手っ取り早い方法を見つけ出す。複雑な判断を迫られると、手元の選択肢にどの程度の手間をかけるかを決め、まぁこれならいいだろうというものを選び出すのだ。中略。よほどの凝り性でもない限り、消費者は商品の選択をする為に必要な膨大な知力を動員できない。中略。最高の何かを探し求めるのではなく、まぁこれならいいや、という商品選択でお茶を濁しているのである。中略。マーケティング界で言われる「ブランド・ロイヤリティ」の大半は、たいてい認知能力の節約の結果に過ぎないのである。P87
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- 製品について魅力的なポイントを探せる労力を節約させるために、考える必要もなく魅力的な製品を作るのか。プレゼンテーションも同じ?認知能力を節約させるためのマーケティング、ってのは持っておきたいアイデアだ。
- 企業にとっては、根本的透明性のおかげで新たな競争分野が生まれる。それは、正しい行動が報われる競争の場である。最も早く製品を改善し、消費者が取捨選択できるような持続可能性の高さを品質としてアピールできる場だ。そしてそこでは、変化にあらがう企業には売り上げの喪失という大きなツケが回る。P91
- これは携帯カメラで撮影する代わりに、商品に埋め込まれた無線チップの製品番号を携帯電話が受信し、自動的に製品の負荷度格付けを表示できるようにするというものだ。さらにクレジットカードで買ったすべての商品について負荷度を計算し、eメールでより良い製品を提案するカード会員向けサービスも考案中だ。P100
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- 日本でも早晩サービス開始するのでしょうか。ビジネス的に絡めないものか。
- いずれも政府が法令によって業界に変化を求めた結果ではない。それまで情報を知らなかった消費者に情報を開示するように法令を定めただけである。情報が市場を動かすのであれば、情報の対称性は市場の大激震となるはずだ。P146
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- 前提となるのは賢い消費者なんでしょうけど、特に日本の場合マスコミが相当うざいことになりそうだ。
- 「自分が買うパスタソースなんて大きな影響はないと思うかもしれない。だがそんな消費者が大勢集まれば、大きな力になるんだ」とグレゴリー・ノリスは言う。「より良い選択をすれば、投票と同じだ。自分が何を買おうが関係ないというのは、誰に投票しても同じだというようなもの。この産業機構を変えられるのは、私たちの購買行動だけなんだ。どこの企業もこう言うよ。「客が気にしなければ、私たちだって気にしないよ」ってね」P153
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- みんながやってるのに自分がやってないエコっぽいこと、結構あるなぁ。身の回りから変えていこう。
- いずれもこうした毒性物質に一度くらい触れても明白な変化は起きないが、微量で長期の曝露は甚大な結果をもたらすという、毒物学の画期的なパラダイム転換をもたらすのだ。中略。合成化学物質が体内に溜まっての相乗的な悪影響は、計算できないのだ。第一に、これあでの毒性試験は、単純にその化学物質に触れると細胞が死ぬかどうかを見るものにすぎない。だがごく微量の化学物質で細胞が死にはしなくても、その細胞や関連して働く他の細胞の働きは長い目で見て衰えるかもしれない。P168
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- 自分が子供のときに比べて、うちの子はどうしてもケミカルな感じになりがちだなぁ。自分のことは勿論だけど、子供のためと思って真剣にInputは吟味しなければ。
- アクワイアード・ディステイスト(本来、人間が経験を通じて好きになる味覚をアクワイアードテイストという。たとえば、味覚経験が浅いうちはおいしくない苦いコーヒーや渋いワインの味を成長後に好むようになるなどである。ここではその逆に、経験を通じて嫌いになった味わいをアクワイアードディステイストと称している)は、市場を左右しかねない。たとえば企業が労働搾取工場を使っているとか、製品の安全問題を起こしたなどの問題があれば、それらは良いニュースを圧倒し、人々が何かを避ける理由になる。P178
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- いまのところ経験ないなぁ、まったく吟味が足りないということか。
- 持続可能な事業への転換によって価値を生み出す進化のステップ。第一段階、環境上の必要に応じることは費用がかかり、不要なのではないかという態度を取ること。問題を見て見ぬ振り。第二段階、より予防的な自発的法令遵守。たいていは環境保護にのりだすことでイメージがあがったり、ブランド価値が増したりすることが動機だ。第三段階、持続可能性を事業戦略に組み込む。エコロジカリー・インテリジェントな経営が収支に貢献できることを示す。P200
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- うちの会社が持続可能な事業へ転換する、ってのは具体的になんだろうか。
- ガラス容器のLCAをみると、どのステップをとっても原材料や製法を工夫すれば環境負荷を減らせると指摘した。「環境負荷とは要するに無駄であって、きちんと計画すれば避けられるものだ」P214
- だから実効ある方法は根本的透明性である。市場圧力を利用して、企業側に環境負荷や公衆衛生への負荷を軽減させるのである。企業がどんな害悪をまき散らしているかを明らかにすれば、自由経済市場の仕組み自体が、対策をもたらしてくれる。根本的透明性は、対策に乗り出した企業、また経済活動によって地域の健康増進に役立った企業も浮かび上がらせる。P251