わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)


京都から新幹線に飛び乗る間際に購入。わかったフリだけは得意な私としては、ドキっとしてしまうタイトルですが、2005年に出た本だそうです、知らなかった。


困った状態としての「わかったつもり」を、そのような状態に陥ってしまう原因の分析と抜け出すための秘策(?)などの観点から分かりやすくまとめあげている。


鬱陶しいほどの早合点と究極までに前提を共有している効率的なコミュニケーション。これらは意外と紙一重だと思うのですが、結局は話し方とか聞き方の心地よさというか不快感の少なさの問題ですかね。


どちらかというと分かってるフリをして前に突き進むことの方が重視されがちな感じの閉塞感たっぷりな今日この頃ではありますが、歩みを止めない程度に「わかったつもり」の自分を見つめ直すことは基礎作りには欠かせないトレーニングなんでしょうね、と。

  • 「わかったつもり」という状態が、「読み」を深めるための大きな障害になること、そして、より細かな文脈を駆使して「わかったつもり」に当たれば効果があること、どのようなときに「わかったつもり」になりやすいかを知っておくこと、「読み」を深める上で読み手の「想像・仮定」が欠かせないのだが、それには整合性という条件が存在する


  • 「わかった」状態は、ひとつの安定状態です。ある意味、「わからない部分が見つからない」という状態だといっていいかもしれません。したがって、「わかった」から「よりわかった」へ至る必要性を感じない状態でもあるのです。


  • 「わかったつもり」がそこから先の探索活動を妨害する


  • 文脈は諸刃の剣です。適切な文脈がなければ「わからない」状態を引き起こしますが、存在する文脈が協力であるほどそれによる間違いを引き起こす可能性が高くなるのです。


  • いろいろあるのだな、と認識した時点で、実は人はそれ以上の追求を止めてしまう


  • 書かれていないことがらを考えるためには、それを探索するための道具が必要である


  • 知識と、現実との「ずれ」「くいちがい」が、不思議を感じさせる


  • 「矛盾」や「無関連」は、次の「よりよくわかる」ための契機となる物です


  • 法則として重要なのは、導かれる過程の論理性ではなく、それが導きだされた状況以外のところでテストした時、「整合的」であるかどうかなのです。


  • 文脈の働き
    • 文脈がわからないと「わからない」
    • 文脈がスキーマを発動し、文脈からの情報と共同してはたらく
    • 文脈がそれぞれの部分の記述から意味を引き出す
    • 文脈が異なれば、異なる意味が引き出される
    • 文脈に引き出されたそれぞれの意味の間で関連が出来ることで文が分かる


  • わかったつもりの作られ方
    • 文章の構成に読み手が惑わされた「わかったつもり」
      • 結果から、というわかったつもり
      • 最初から、というわかったつもり
      • いろいろ、というわかったつもり
    • 読み手の既存のスキーマによる「わかったつもり」