ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術
- 作者: 棚橋弘季
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2009/06/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この1年ぐらいは自社製品ってH/Wプロダクトが中心になってきてますので、やっぱりスタイリィッシュかつ使い勝手の良いデザインを日々求めているわけです。
「デザイン」って、匠の道というか自分以外の専門家に任せなければいけない領域、みたいなイメージだったんですが、その手法自体はすごく興味があって、プロセスの部分においては真似できることがあるのでは、と思いながら良書に巡り合えず早幾年。
で、この本はずばり「デザイン思考」はもっと汎用的に使えるぜ、っていうか、すべてはデザインなんだぜ、って話。
まぁ正直なところ、発想法的な観点からは紹介されている手法自体についてはそれほどの驚きも喜びもないんですが、その根拠の提示とかバックグラウンドの部分では非常に示唆的なものが多かった。なので良い意味で期待外れ。「デザイン」の価値を享受しましょう。仕事術なんて各自で作ればいいさ。
B2Bとか関係なく、新しい生活文化をつくるというか、経済と文化をつなぐような製品を創造していくんだ。言うまででもなく、創造すべきは製品ではなく文化ですよね。
あと具体的なタスクとしては、「プロトタイプを作りやすくするための環境づくり」を来週中に。適切なサイズの段ボールをストックすることかな。
以下、メモ。
- デザインって、
- 生活に秩序を提案し実現するもの
- モノに意味を与える仕事
- 人間自身の生活、行き方、そして生命としてのあり方を提案する仕事
- 生活文化を作る仕事
- ものをつくって提案できる国はたくさんありますが、ものをつくって生活を提案できる国はあまりない。イタリアは、例えば家具なら家具を通して新しい生活の仕方、新しいヴィジョンを売ってきたわけです。
- 基本姿勢
- 1.「わかる」ことは重要じゃない。「わからない」ことにこだわる。
- 2.オフィス内の論理にではなく、外の世界の現実に従う
- 3.他人の意見や作ったものを否定しない。厭ならよりよい代替案を具体的に示す。
- 4.頭の中だけで考えない。ことばや形を外部化して組み立てる。
- 5.仲間内で群れない。異分野の人と積極的に接する。
- 6.先人に学ぶ。古きものに学ぶ。今に囚われない広い視点をもつ。
- 7.グループワークを重視する。協力を惜しまない。
- 目の前にある様々なことの中や外から、知ってることじゃなくて、知らないこと、わからないことを探す。そして掘り下げる。
- 情報過多なんて嘘。本当なら、ひとつ情報を入手したらそれとつながる情報が欲しくなる方が自然なのに、そうではなく何か情報を得ることで安心してしまう傾向があります。それであとの情報は余計だと。安心を得るためだけなら不必要な情報が多すぎるというわけです。
- 安心を得るためではなく、好奇心に従って情報に接していれば、情報そのものが生きて活発に動くはずです。というあたりは松岡正剛っぽいくなってくる。
- 経済と文化をつなぐもの。需要と供給、経済と文化が包括的に描かれた設計図を誰も引かないまま、モノだけがデザインされているからおかしなことになってしまう。
- 人の身振りは様々なモノのフォルムにコピーされ、モノは人の動きをそのフォルムの上に知恵としてアーカイブしている。グーグルがさまざまなデジタル情報をアーカイブしインデックス化していること以上に、人の動きに込められた身体的で潜在的な知恵をアナログな状態で保存しているモノのデータベースの厚みははるかに多様で豊饒。そして、そのデータベースへのアクセスはモニター越しに行うキーワード検索によって引き出すのではなく、実際にモノに触れることで可能になる。
- アナロジー化の良いところは、遠くの人々、他の時代、あるいは現代の様々なコンテクストさえ、我々の世界の一部にしてくれる点である。
- 分野や時代を超えた博物学的姿勢による蒐集を経てはじめて、目の前の問題解決のために必要な基礎体力としてのアイデアの引き出しを増やすことが可能になるのですから。
- 外側から他人事のように眺めるのではなく、自分で同じ立場・同じ状況に身をおいて「なってみる」という感覚を働かせる。在点ーポイント・オブ・ビーング。傍観ではなく参加。