パーソナル・プラットフォーム戦略 (ディスカヴァー携書)

パーソナル・プラットフォーム戦略 (ディスカヴァー携書)

パーソナル・プラットフォーム戦略 (ディスカヴァー携書)


ディスカバートゥエンティワンさんのフラッシュマーケティング(ex.mm/ddのhhまでに御購入いただくとこんな特典が!)に釣られて購入してしまった感じでしたが、帯の「何が起きても生きていける人間に!」というのも決して大袈裟な表現では無く、この薄い新書の中に今日から実践できるテクニック(?)だけでなく、噛みしめて生きるべき人生訓もたくさん詰まっててお買い得な一冊かと思いました。


いわゆる企業活動におけるプラットフォーム戦略を個人レベルにも落とし込んでみる、ことによって混迷する時代を生き抜く術を見いだせるかも!という切り口が大変素敵です。その切れ味の反面、ブランディングの都合もあるのでしょうけど、無理に「プラットフォーム」という言葉を使わなくてもよかったのでは?最後まで違和感が外れないというか感覚的にバズれないというか。


「パーソナル・プラットフォーム」をひとことで言い換えるなら「仲間力」でしょうか。そこから安田雪先生の近著を思いだしプラットフォームとしてのONE PIECEみたいなところに議論を持って行くと、最近の売れ筋ビジネス書の系統が見えてくるような来ないような。すいません、余談です。


もう少し具体化された「ひとり社長」の定義は、「グローバルな市場を相手に、自らのノウハウを武器にして、さまざまな企業や人とアライアンスし、自分をいろいろな人が集まる場(=プラットフォーム)にすることによって、どんな時代になっても何があっても稼いでいける人(P.8)」だそうです。なるほどなるほど。


実装するべき機能の指標としては、
1.マッチング機能
2.コスト削減機能
3.ブランディング機能
4.外部ネットワーク機能
5.三角プリズム機能
などがあげられています。マインドやビジョンの共振のみに頼らず、この辺を意識しながら仲間を増やしていこうね、というのは大変に効果的かと。実行できるかは別問題ですが。


あと、非常に地に足が着いているなぁ、と思ったのが「自分ブランドを高めるためには、まず当たり前のことが出来る人になる」という記述。エッジが訊いてりゃいいってもんじゃないよ、と。ちゃんとやることやって、下積みだって心がけひとつで貴重なノウハウ蓄積の場ですからね、と。そりゃそうなんだけど、当事者が忘れがちなポイントかと思います。自戒せねば。


延々と考えながら読み続けて、やっぱり「パーソナル・プラットフォーム」ってのはしっくりこなかった。やはり、ところどころで言及されている平野さんの過去の著作を読んでみないとダメなんですかねー。




メモ:

  • P.112 「自分の思考」を「みんなのもの」に転換してしまう、のが「プラットフォーム・シンキング」という発想の方法です。


  • P.128 「できない」という固定観念もありますが、固定観念の中でも、プロジェクトがとくに犠牲になりやすいのは、実は「成功体験」を持っている人のそれでは無いかと思います。


  • P.146 このとき、仮にあなた自身が相手のニーズに直接こたえられなくても、プラットフォーム化をしていれば、応えられる他の人を紹介することができます。その結果、相手が満足してくれれば、きっとあなたに感謝をするはずです。すべてを自分でやろうとしないことが、実はとても大切です


  • P.152 情報を得た際にできるだけ即時発信できるようにする、ことが大切です。工場や店舗のオペレーションでは、この、情報を得て即時発信するという作業は5秒でやるというところまで徹底して管理されているというのに、ホワイトカラーの仕事はそういうことに関して全く議論すらされていない。


  • P.164 情報を判断するときには、

「客観的な根拠となるデータは?それは一時情報か?」
「それで誰が得をするのか?」
「何のためにその情報をいま提供しているのか?」

などについて、必ず疑問を持って接することが大切です。

  • P.189 誰でも自分のことを突き詰めて考えれば、「売り」にできる自分の情報というものを持っているはずなのです。それが思いつかないのは、ふだんから「もらおう」ばかりが先になって「与えよう」ということを真剣に考えていないからではないでしょうか。ぜひ一度、自分が他人に話ができるものを、実際に書き出してみることをお勧めします。


  • P.193 最終的に「プラットフォーム人脈」をつくる際にカギとなるのは、やはり「謙虚さ」と「素直さ」そして「相手に感謝する心」です。


  • P.229 多くの人は「ある目的」のために勉強をし「ある目的」のために必要な人脈を作りたいと考えます。しかし、プラットフォーム化の根底にあるものは、そういった目的から逆算して想像できる範囲の世界では無く、勉強することによって、人脈ができることによって、その目的自体がどんどん変化していく、あるいは広がっていく、進化していく「発展性」なのです。勉強し続けることで、目標も夢もどんどん変化していくのです。そこで限界設定などしてしまったら、その時点で成長は止まってしまいます。


  • P.234 「わたしはこんなに努力をしているのに、うまいくいかないのです」という人といっしょに仕事をしたい、という気持ちになるでしょうか。不安もがんばり過ぎも、抱え込みすぎると、身動きが取れなくなってしまいます。それだけでなく、周りの人を寄せ付けない壁をつくってしまいます。