苦役列車
- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: ハードカバー
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言うまでもなく今年の芥川賞W受賞の一翼、朝吹さんとの対比に何かしら意図的なものを感じてしまう訳ですが、毎年恒例、文芸春秋に掲載されてるのを拝読しました。
その日暮らしの港湾労働者がひたすら落ちぶれ続けるだけの日々の叙述。私小説にストーリー性とか盛り上がりを求めるものでもないんでしょうけど、この芥川賞作品からどうやって面白さを探せば良いのかなぁ。
たしかに文章力はありますよね。粗暴さと裏腹に無駄に丁寧というか可愛さのある言葉遣いとかは気になった。でもそれだけじゃ。
自分のそういう側面をあぶりだす機能を持たせているのだとしたら、それは結構効いてる。いつかの自分を重ね合わせて少し気持ち悪くなりました。
あるいは、自分よりダメな存在を認識させることによる救済?それでも生きてるよ、って言われても何の足しにもならんしなぁ。
まぁ、恐らくさらけ出すこと自体が目的なので、著者が何か伝えたいとかはないでしょうしね。面白いと思ってもらおうなんて、思ってないよみたいな書き方だから、周りで勝手に騒いでるだけなんですよね。
結局は最後まで読まされてるし、そもそも芥川賞作品だから手に取った、という時点で自分のイマイチさを痛感する次第ですよ。
小説よんだの久しぶりでしたが、やっぱり普段から色んなの読んだ方がいいなぁ。食わず嫌いを探すことこそ、豊か人生への近道かもしれない。