歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6)

歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6)

歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6)


amazonさんにお勧めされて買ったのかな?忘れました。


最初のうちは楽しく読めてたんですが、どうも途中から息切れというか、退屈になってしまいました。


日本の歴史教育の問題点の指摘とか、同じ年代における日本とその他の地域との比較なんかは良いのですが、歴史を取り扱う本にありがちな無駄に難しい言葉遣いがちょっと鼻につきますよね。


最近の若者はカタカナばっかりでとか、何でも英語にしやがってみたいに言われるような話も聞きますが、逆は逆で面倒な話ですよね。いまどき無駄に小難しい日本語つかってんじゃねぇよ、みたいな主張も一理あることを客観的に証明できる訳ではないけど、あっていいと思う。


それはさておき、日常生活において通り過ぎる景色の中で自分よりも新しいものがどれだけあるか。どれも悠久の歴史を経た上に構成されるものであるのだから、そこに思いを馳せる行為に価値を見いだせるのであれば、それは、より豊かな人生に大いに貢献しうるものであることは疑う余地もない。だとしたら、歴史を学習する時間を確保することによる投資効果について再検討しなければならないことは、これもまた疑う余地のないものである。(こういう書き方が良くない)


以下、メモ:

  • P.50 征服した側の歴史なので成功物語としては面白く読める。実はこのとこが日本人の西洋観を独特のものにしている。日本人から見ると、西洋は文化が栄え技術が進み、常に斬新な思想が生まれる人類文明の先端を創造してきたところに思えてしまう


  • P.70 エジプトの古王朝期には奴隷がほとんどいなかったことが分かっている。中略。ピラミッドは自由なる民衆の自発的な勤労奉仕で作られたのだ。なぜ?最近の通説は余剰生産物の蓄積をなくし、社会の階級下を防止するためだったというもの。ピラミッドの建設は一種の公共事業であり、造ること自体が目的化していたのだ。どこかの国の高速道路とおんなじ


  • P.188 どうして好景気の明るい文化の時代の為政者が酷評され、不況と文化弾圧で暗い時代を造ったものが歴史に令名をとどめるのか。その最大の理由は、江戸時代の世評や歴史の記述者がほとんどすべて下級武士階級だったことだろう。


  • P.215 日本は、1868年の時点で古い文化を捨てて、近代工業社会に向かって走り出した。そのため20世紀においては世界の政治と経済の主要なプレーヤーの1人になることができた。今、世界は近代工業社会から地価社会へ、大転換しつつある。これに追いつく為には、口先小手先の改革ではなく、倫理観と美意識の変更を含む、体制と発想の転換が必要なのである。


  • P.227 戦後の日本経済の実態は、アメリカ風の自由主義経済よりも、むしろそれと対立していた社会主義計画経済に似ていた。このありさまは、外交的にはイギリス陣営に属しながら、国内体制としてはドイツ帝国型の官僚主義型啓蒙主義を採った明治の日本に酷似している。


  • P.261 犬養内閣と小渕内閣、失われた10年のあとで経済の再生に蛮勇を奮った両内閣は、ともに総理大臣の予期せぬ死去によって志半ばで終わってしまった。偶然とはいえ、不思議なほどの類似性である。


  • P.276 人類が他の動物と違うのは「歴史する」「設計する」「未来を予測する」こと。過去の記憶と記録は今の設計に活かし、今の設計を未来の予測に使う。そして、次には歴史を未来の予測に役立てようという発想が生まれた。孔子はそれを「温故知新」といった。
    • ライフログと温故知新!他人のライフログデータを自分の生活向上につなげるという視点はちょっと目先がかわって面白いかも。