世界級キャリアのつくり方―20代、30代からの“国際派”プロフェッショナルのすすめ


今ほどのインパクトを感じられたかどうかは分からないけれど、もっと若いときに読んでおきたかった。学部生の時か、あるいは高校生の頃とか。遅すぎるということは無いのでしょうけど、でも違う現在の可能性を考えずにはいられない。


単に海外関係の仕事をしているとかではなくて、世界に通用する「国際派プロフェッショナル」って、どんなものなのか。個人にとって、あるいは日本というスコープで考えた際に、そこを目指す意義とハードル。求められる素養やスキル、キャリアの進め方など。豊富な事例/実体験に基づいて極めて具体的に記述されています。


まっとうな若者であれば、この手の本を読んで感化されないわけはない、と思うのですがどうなんでしょうね。あと親として絶対に読んでおかないといけない一冊だと激しく思います。できれば背中で語れるような親にりたいところですが、せめて子供の可能性を制限しないためにも理解はしておきたい。


それにしても、憧れというよりは不安先行って感じですよね。身の回りでもグローバルに活躍される方が増えてきましたが、自分はミクロでニッチな領域にフォーカスしてきている。どこかで還元できるんだろうか。


今の仕事の内容は切り離したとしても、素養として自分に足りないものが嫌と言うほど理解できました。そして、正しい道を選んだ人たちが行っていたことの正当性も。気づけたことが幸せと考えて日々精進しましょう。


メモ:

  • 国際派プロに共通する要件・特色 P.24

1.圧倒的な知識・技術
2.自分の仕事にパッションとプライドを持つ
3.個人で勝負する
4.充実した生活を送る
5.自分の主張・見解を明確に持つ
6.仕事の完成度が高い
7.安住しない
8.活動の場を日本に限定せず、常に世界を視野に入れている
9.一般的な知名度はなくても、国内での名声を超えて、世界で知られている
10.世界における日本の役割、世界への貢献を意識している
11.世界のネットワークに繋がろうとしている、あるいはそこで勝負している
12.社会や若い世代のために各種の活動を行っている

  • 世界のトップクラスのプロたちは自分の分野と直接関係のないと思われる世界の課題についても自分の問題としてとらえ、いろいろな活動をしている。中略。まず自分で活動を起こすということだ。自分は何もせず、誰かの活動を評価する評論家とは違う。中略。どんな問題でも人類の問題として、人類の一員である自分はその中で何が出来るか、どうしたらよいかを考え、実行すべきなのだが、こうした人は日本には少ない。P.65


  • 吉田松陰松下村塾を開いていたのはわずか一年半ほどであったが、海外との交流が閉ざされている状況で鬱々としていた若者たちは吉田松陰から何かを感じ取り、生まれつき持っていた資質を発揮し、倒幕、維新に活躍することになる。P.75


  • 特に国外から見ると、「内向き」で世界観を持たない日本の国力の貧弱さが目に付く。ブロークンイングリッシュでもよいから、世界の動きや課題について自分の主張を持ち、それをどんな場でも表現できるようになるべきだ。P.86


  • 20代までに少なくとも一年程度の海外留学をお勧めする。P.106


  • メンターとの出会いは意図的に求めることも出来る。いつもたくさんの人と会ったり、セミナーに参加したりすることで、そういう人に会える確率は高まる。シンポジウムなどで素晴らしい人に出会ったら、積極的に自分からコンタクトをとるべきだ。自分の名前でコンタクトできる人をたくさん持てるよう、努力することが大事だと思う。P.132


  • 自己アピールとは、自分の特徴を把握し、それを簡潔に説明することである。自分には何が出来るか、自分の武器は何かを知り、それを誰に対しても嫌み無くアピールする。アメリカ人はこれがうまい。初対面の人とでも、個人として有意義な、かつ楽しい海和をしながら、自分を旨くアピールする。それが習慣であり、子供の時から経験を積みながら、訓練されていく。P.139


  • 国際会議の場では、その人の真の力がとてもよく見える。自分の主張、プリンシプルがあるか、それぞれの問題について自分なりに考えていて、何か意見を持っているかが試される。また、誰かに反論されたときにどう答えるかという対処の仕方も試される。誰がどんなしつもんをしてくるかもわからない、シナリオのない即興の世界だから、その人の本来の力がはっきりと出てしまう。P.143


  • 日本には歴史観や世界観のある人が少ない。「日本にはこういう歴史があり、その延長線上に現在があり、今、世界はどういうパラダイムで動いているから、近隣諸国とはこういう関係になっている。だから現在の日本の問題はこうで、つぎはどうすればいい」などという話が全く出てこない。P.169


  • 表現力を鍛えるために。P.195

1.主張がある社説、記事、本に対して、常に自分の意見(賛成か反対かとその理由)をもつ
2.映画、音楽、演劇などを見たら、必ず自分の感想(好きか嫌いか、その理由)を見てない人に説明する
3.子供に自分の仕事の良さを説明する
4.講演会や交流会では必ず一つ質問する

  • プレゼンは発表者と聞き手の知的対話であり、腕を見せ合う「格闘技」であり「勝負の場」なのである。相互評価の基本である。お互いに生き生きと建設的に意見を交換する。P.199


  • 絶対に学生に恥をかかせてはならない。もちろんケーススタディだから、もう答えられないというところまで厳しく追及していくが、だからといって恥をかかされたとかバカにされたと学生が思ってはならない。byマイケル・ポーター。P.203


  • 当事者力を磨くために行うべきこと。P.223

1.やりたいと思っていたことを一つ選び、自ら一ヶ月は実行する(できれば周囲も巻き込む)
2.最近起こっていることについて(例えば新聞記事や電車の中吊り広告を見て)、自分がその立場にあったらどうするか、それは何故かを常に考える
3.自分の出身高校の状況を調べ、自分が出来ること、すべきことを起源を決めて実行する
4.日本、アジア、世界の課題を一つえらび、年末までに何かそれに関連する行動をおこす

  • 子供に何かを教えるときには「Do as I do, and not as I say」というのが効果的だといわれる。「私がやるようにやりなさい」といえば説得力があるが「私のいうようにやりなさい」では説得力がない。P.228


  • 直観力を磨くために行うべきこと。P.233

1.新しい店、レストラン、場所に行ったり、はじめての人にあったら、それを一言で知らない人に説明するために、最も効果的・効率的な説明方法を考える
2.一ページの記事を音読し、そのサマリーをすぐその場で言う
3.自分の仕事を改善するとしたら、どんな指標を見るか、それはなぜか説明する
4.自分が属する組織の長になったら、最初の三ヶ月で何をするか、それは何故かを考える。その後、自分の仕事をもう一度見直す