一歩を越える勇気

一歩を越える勇気

一歩を越える勇気

山崎拓巳さんのPodcastにご登場されてるのを聞き流してた程度だったんですが、なんか動画とか綺麗な写真が満載された電子書籍ってのに惹かれて、iPad版で読んでみました。


大変さわやかですね。Amazonのレビューとか見ると山登り系の方々からは辛口のコメントも結構よせられてますが、山の素人である私は純粋に読み物として楽しむことが出来ましたよ。エベレストとかマナスルとかの迫力ある写真も楽しめるんですが、大変過酷な行程を叙述する文章を読んでると、よくそんな状況で写真なんて撮れたもんだとか思う反面、その境遇で眺めるこの景色はどんなインパクトを及ぼすのか、ってあたりも気になります。


本格的な登山ってのは経験ないなぁ。筑波山だったら登山道じゃないところ登ったりケーブルカーの通路を登ったことはあるんですけどねー。


さて、この本は別に登山日記ってわけじゃなくて「冒険の共有」をモットーにする栗城さんの企みの一環なわけです。いくつかメッセージはあるんだけど、夢を持つことの大切さ、それで人生がどのように変わるか、みたいなところが熱いですね。なんか元気になりますよ。




メモ

  • 「不安」や「孤独」がこの山にあるのではない、あるとすればそれは自分の中にあるのだろう。それを克服すべく、一歩一歩、僕は心の空白を埋めるようにして登る。P.90


  • それから僕は、母に誓った。けっして弱音をはかないこと。そして最期に「ありがとう」を言ってこの世から去れる人間になれるようにと。そのためには、中途半端に生きてはいけない。何か自分が出来ることを毎日精一杯やろうと。そして、そのためには目的を持たなければいけないと思った。P.106


  • 24時を過ぎても誰も出てこない。これ以上、誰かを当てにするのはやめよう。深い雪と強い風、そのダウラギリの全てを受け止めて登ろう。「明るく、元気に、楽しんで、全てに感謝。ありがとう」と手持ちカメラの前で自分にメッセージを送った。P170


  • 僕はここで終わりではない。まだエベレストがある。次の山を頭の中で描き始めていた。結局、山頂にたどりつくことよりも、登りつづけること自体が楽しいのかもしれない。けっしてたどり着くことのないゴールを追い求めているかのように。

P.185

  • 自分の夢をたくさんの人に語るということ。これが出来るだけで、夢が実現する可能性は高い。逆に言えば、自分のやりたいことや夢、目標を口に出来ないとうことは、実現させられる可能性は低いということなのだと思う。それはなぜかというと、夢や目標を口にすることによって、まわりに伝わって共鳴する。そうすると支援してくれる人や、そのとき自分が必要とする人が必ず現れてくれるのだ。P.200


  • もし自分の友人や子供が自分のやりたいことや夢を語り始めたら、絶対に否定するのではなく、信じてあげてほしい。そして夢を語る大人が増えれば、日本は変わっていくと思う。P.205


  • 夢を持つだけで、自分が前向きに生きられる。もちろん失敗や挫折もあるだろうが、それはけっしてマイナスなことではないのだ。失敗は終わりではない。夢をあきらめ、歩みをなくした瞬間にすべてが終わるのだ。生きることとは何か。僕は「希望(夢)をもち、行動すること」だと思っている。P.208


  • 夢はかなうかなわないは関係なく、持つことに意味がある。そして、支え合う仲間が出来たとき、夢は必ずかなうのだ。P.214


  • 「では、お友達を紹介してください」厳密には口にはしないのだが、なんとなくそういう感じを出すのである。すごい人のお友達はすごい人であるということが実は多い。社長さんのお友達はまた社長さんなのである。人と出会ってつながっていくことで、夢を形にすることが出来る。P.225


    • これは実感する。すごい人は凄い人を知ってる(ただし、けっして伽藍の中の話ではない)




  • できないと思ってやめてしまったら絶対にできないけれど、それは自分の心が決めているだけで、本当はやってみたらできるということが絶対に多いのだと思う。それを伝えたいから、僕はエベレストを目指し、毎日はしりまわって、実現に向けて動いているのだ。そう考えて行動するようになってから、環境がどんどんいい方向に変わり、出会うひとも多くなってきた。そして、そこに「必ずやる」という信念が出来るようになり「必ずやり遂げられる」という大きな自信が持てるようになってきたのだ。P236


  • 一歩がでないほどつらいとき、「ありがとう」と口にすることによって一歩が出る。逆に、山に対して「ちくしょう」とか「負けないぞ」というような気持ちを持ってしまうと、力は出ない。山に対峙してはいけないのである。苦しみも不安も全ては自然の一部であり、僕らはその自然の中の一部である。苦しみを受け入れ、そして感謝する。「ありがとう」は、困難な時代を乗り越える力のある言葉かもしれない。P.272